三浦綾子入門

三浦綾子入門 4.はまションのお薦めはこれ!

4.はまションのお薦めはこれ!

3.代表作では一般的に三浦綾子さんの代表作と呼ばれるものという観点を重視して選択してみました。

この4.では、まったく個人的な趣味・好みから何作か紹介したいと思います。もちろん代表作と重なるものもあるのですが、ここではあえて3.代表作と重複するものは省き、それ以外の作品を紹介します。

 

三浦綾子さんの考え方や主張したかったことを理解するには、私は小説よりもエッセイの方が適していると思います。それは、小説の場合、ストーリーの展開上いろいろな枝葉がつきます。これは余計なものというわけではなく、味わい深い作品にするためには必要不可欠なものです。しかし、エッセイではそういった枝葉がそぎ落とされ、三浦さんの主張がぎっしりと凝縮されたものになっている印象を私は持っています。

そして、一生の宝となる言葉がたくさんきらめいています。もちろん小説にないわけではありませんが、エッセイの場合、テーマがはっきりしているため、その意味するところが分かりやすいといえます。

わかりやすいと言えば、三浦さんのエッセイはとても分かりやすく、まるで三浦さんが自分に語りかけているような気にさせます。これは三浦さんの創作形態が口述筆記だったということにも由来するのかもしれません。

とてもわかりやすいのですが、その一編一編をゆっくりと読むのが好きです。

みなさんもたまにはのんびりとした気持ちで本を読んでみてはいかがでしょうか。

それでは私のお薦め作品を紹介します。

 

明日のあなたへ 愛するとは許すこと

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私の中で一番好きなエッセイがこの一冊です。毎年一回は読むので、5,6回は繰り返しよんでいるのではないでしょうか。

この「明日のあなたへ」を最初に読んだとき、冒頭の言葉でガツンとやられた気がしました。

九つまで満ち足りていて、十のうち一つだけしか不満がないときでさえ、人間はまずその不満を真っ先に口から出し、文句を言いつづけるものなのだ。自分を顧みてつくづくそう思う。なぜわたしたちは不満を後まわしにし、感謝すべきことを先に言わないのだろう。

この一文を目にしてからこの一冊を手放せなくなりました。ちょっと心が後ろ向きになったとき、この本を手に取ると気がとても楽になり、前向きになれるのです。そして、肩の力が抜け、すっと普通に正面を向いて歩いて行けるのです。文庫本の帯に「どんな時にも未来はある」というのを本当に信じられる気にさせる一冊です。

太陽はいつも雲の上に 私たちを支えた言葉

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この一冊は、夫・三浦光世さんとの共著ですが、三浦夫妻が名言、格言、諺などを紹介し、その言葉にまつわる話、想いを綴った一冊です。

とても有名な言葉の他、まったく聞いたこともない言葉もありますが、ほう、こういう考え方もあるのかと感心しきりで読んだ一冊です。この本でたくさんの言葉が紹介されていますが、その中でも特に私のお気に入りの言葉のいくつかをここで紹介します。

傷痍なき人生は恥

感動できない人生は常に荒野である

希望は失望に終わらない

雲の上にいつも太陽は輝いている

これらの意味するところは、是非、自ら本を手にとって味わってください。

イエス・キリストの生涯

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これは他の作品と比較すると異質なものかもしれません。内容が異質というわけではなく、ビジュアル面で。というのもカラーの挿し絵が半分近くを占めているからです。

いわゆる宗教画を紹介しながら、イエス・キリストの生涯を綴っていく一冊なのですが、とてもわかりやすく書いてあるので美術館へ行く前にこの一冊で勉強しておくと絵画の楽しみが増えるのではないでしょうか。

この一冊は三浦さんのエッセイも楽しめるだけでなく、絵画も楽しめる一冊です。

2000/02/21Update

2010-01-04 | Posted in 三浦綾子入門No Comments » 
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