三浦綾子入門
三浦綾子入門 3.三浦綾子の代表作
3.三浦綾子の代表作
三浦綾子さんは80作以上の作品を世に送り出していますが、その中から代表作と思われる5作品を簡単に紹介していきます。
三浦綾子さんの作品を読んだことがない方は、まず、以下の5作品のどれかから読み始めるとよろしいのではないでしょうか。
氷点 塩狩峠 道ありき ひつじが丘 泥流地帯
代表作の紹介
・氷点
「自分の娘を殺した殺人犯の娘を育てる」というショッキングな設定な小説です。この小説のテーマになっているのは「原罪」。原罪の意味を広辞苑で調べると、「アダムが神命に背いて犯した人類最初の罪。人間はアダムの子孫として生まれながらに原罪を負うものと考えられる。宿罪。」とあります。どんなに誠実に生きている人、正義の人であっても、人間は罪を犯さずには生きられないということを訴えた作品。
設定が設定だけに現実のこととは思いがたいかもしれませんが、登場人物たちの想いと同じような想いが自分の心の中に生じるかもしれないし、登場人物たちの行為と同じような行為を自分もしかねないんだと、自分にも起きかねない、いや、起きるのだという気持ちで読まれるとよいのではないでしょうか。
・塩狩峠
自らの命を賭して、大勢の人の命を救ったという実話に基づく小説です。なんといってもクライマックスは小説最後の方の鉄道事故の場面。そのクライマックスへ向けどんどん引きつけられ、そのクライマックスは涙なしでは読めないのではないでしょうか。
感涙することの多い三浦作品の中でもその1,2を争うのではないかと思います。一度も三浦作品を読んだことがない人は最初にこの「塩狩峠」を読むのが入りやすいのではないかと思います。かくいう私も最初に読んだのはこの塩狩峠です。
・道ありき
三浦綾子さんの青春の日々を綴った自伝です。三浦綾子さんは13年にも及ぶ入院生活を送った経験があるのですが、その大変な日々を過ごしていた頃の自伝です。
この道ありきは「前川正」さんの存在抜きには語れません。三浦綾子さん自身にとっても前川正さん抜きには三浦綾子さんの人生はなかったのではないでしょうか。こんな人がいるのかと俄には信じがたいような前川正さんですが、前川さんを知る人にすると、現実の前川さんはもっとすごかったそうです。どんなにすごいのかは読んでのお楽しみ。
きっと勇気を与えられることでしょう。
・ひつじが丘
愛するってどういうことなんだろう、とたまには真面目に考えてみませんか。そのような時にお薦めなのがこの作品です。
この作品の中で三浦さんは登場人物に「愛するとは、ゆるすことでもあるんだよ」、「愛するとはね、相手を生かすことですよ」と語らせます。これがこの作品の中で三浦さんが言いたかったことでもあり、三浦さん自身の言葉でもあるのでしょう。
「自分に忠実に生きる」という言葉があり、割とそのような生き方がもてはやされたりしますが、自分に忠実とはどういうことなのでしょうか。自分の気持ちに忠実に生きることだけが忠実といえるのでしょうか。人には気持ちがある以上、それを無視した生き方はギスギスしたものになってしまいますが、気持ちだけでなく、自分の意志や理性というものをもっと尊重した生き方はできないのか、と。このようなことも考えさせられる作品です。
・泥流地帯
十勝岳の大噴火のときの話をベースにした小説です。主人公たちに次から次へと災難がふりかかります。しかし、そんな災難をも自分にとっては試練なのだと思える強さが主人公にはあります。
真面目に生きるって損な生き方だなぁなんて思えてしまうときや、どうも考え方が後ろ向きになってしまいがちなときに読むと必ずや力を与えてくれる作品だと思います。
身震いするような感動があります。
<おまけ はまションと三浦作品の出会いコース>
人それぞれ気になった作品から手をとっていけばいいかと思いますが、私が三浦作品と出会ったのはおおよそ次のような順番でした。(途中、ここには未掲載の作品が入りますが、ここでは省略)
塩狩峠 → ひつじが丘 → 道ありき → 氷点 → 泥流地帯
<データ編>
・販売部数上位作品
氷点 338万部
塩狩峠 296万部
続氷点 284万部
天北原野 157万部
積木の箱 151万部
道ありき 147万部
細川ガラシャ夫人 124万部
ひつじが丘 110万部
※データは三浦綾子記念文学館調べ。(「三浦綾子に出会う本」より)
<三浦ファンのお気に入り上位作品>
塩狩峠
氷点、続氷点
道ありき
泥流地帯、続・泥流地帯
ひつじが丘
天北原野
銃口
母
細川ガラシャ夫人
ちいろば先生物語
※データは「三浦綾子愛読者ページ」のお気に入りコーナーへの投票数から(2000/02/13時点)。
2000/02/13Update